札幌こころのセンター
(札幌市精神保健福祉センター)

こころの病について

代表的なこころの病について紹介します。

こころの病には様々な種類があります。それぞれ
症状・治療方法も異なり、身体的な症状が出るものも
あります。代表的なこころの病について知りましょう。


気分障害

 通常範囲を超えた落ち込み、または高揚した気分・感情の変化が2週間以上続くとき、気分障害が疑われます。代表的なものにうつ病、双極性障害があります。

うつ病

うつ病とは?

 気分の落ち込み、趣味にも興味が湧かない、食欲がない、睡眠が十分にとれないなどの症状がみられると、「抑うつ状態」と呼ばれるようになり、この状態が続くと「うつ病」と診断されることがあります。
 初期には疲れやすさ、頭痛、胃腸症状などの身体症状が顕れることもあり、日本では、15人に1人が一生のうち一度かかるといわれています。

どんな治療をするの?

 一般的に休養、薬物療法による治療や、環境調整を行います。

CHECK!

 以下の症状に一つでも当てはまり、長く続くようなら、専門の医療機関を受診したほうがよいかもしれません。

  • 毎日の生活に充実感がない。
  • これまで楽しんでやれていたことが、楽しめなくなった。
  • 以前は楽にできていたことが、今ではおっくうに感じられる。
  • 自分が役に立つ人間だと思えない。
  • わけもなく疲れたような感じがする。

POINT

 まずはゆっくり休むことが回復への近道です。周りの方は以下の点に気をつけて接するよう心がけましょう。

  • 回復には時間がかかることを理解する。
  • できるだけ休養させる。
  • 重大な決断は先送りさせる。
  • 無理に励まさず、温かく見守る。
双極性障害(躁うつ病)

双極性障害とは?

 気分の浮き沈みは誰にでもありますが、その範疇を大きく超えた気分の高揚と、抑うつ状態が周期的にあられる病気です。以前は躁うつ病といっていましたが、英語でBipolar disorderということから、双極性障害というようになりました。

どんな治療をするの?

 継続的な薬物療法によって症状の改善が期待できます。

統合失調症

統合失調症

統合失調症とは?

 統合失調症は、考えや気持ちがまとまらず混乱した状態が長く続く病気です。このため、実際に聞こえない声が聴こえたり(幻聴)、現実にありえないことを信じ込む(妄想)などの症状がみられます。症状が安定しても、疲れやすい、対人関係が苦手、集中が続かないなど、「生活のしづらさ」を抱える方が多いようです。

原因は?

 まだはっきりとはわかっていませんが、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることが関係しているようです。また、大きなストレスがかかることなども関係あるようです。遺伝子も関与しているといわれていますが、単純に遺伝子だけの問題ではなく、さまざまな要因が関与していると考えられています。

どんな治療をするの?

 服薬の継続が重要ですが、その上でリハビリテーションや生活訓練をすると効果的です。回復までの道のりは人により異なるので、本人も家族も焦らないことが肝心です。

POINT

 本人に自覚がないことも多い病気です。前述のような症状で困っている人がいたら、以下に気をつけて治療を勧めましょう。

  • 精神科・心療内科への受診に抵抗があるようなら、まずはかかりつけ医に相談するよう促す。
  • 受診について無理強いせず、根気よく説得する。
  • 本人に自覚がないようなら、こころの病への理解を促す。
  • 「心が疲れているのかも」など、本人が受け入れやすいよう言い回しを工夫する。
  • 「私も一緒に行くから」と誘い出す。

※ 障がいを抱えていても地域で生活していけるように、活用できるサービスや社会資源があります。

依存症(アルコール・薬物など)

依存症

依存症とは?

 「やめたくてもやめられない」
 この度合が高まり、自己コントロールできずに精神的・身体的に害が及んだり、社会生活や人間関係に支障をきたすようになってきたとき、依存症の可能性があります。

依存の対象となるもの

 一般的な依存の対象はアルコール類、薬物やタバコ等の物質ですが、ギャンブル、パチンコ、買い物、インターネット、ゲームなどの行為も依存の対象となりえます。

CHECK!

 依存症の度合いをチェックしてみましょう。当てはまるものが多いほど要注意です。

  • 依存対象にのめりこむことによって、日常生活や人間関係に支障が出ている。
  • 依存対象への強い欲望がある。
  • 依存対象へのコントロール(時間、量、タイミング)が難しい。
  • (物質の場合)一定期間摂取しないと、発汗や手の震えなどの身体症状がみられる。
  • より強い刺激を求める。

依存症かな?と思ったら、

 依存対象にのめり込む理由は人により様々ですが、深刻な問題が生じていてもそれに自ら気づくことが難しい病気です。周囲の人たちが適切な対応を理解することで、本人が自分の問題に気づくきっかけとなったり、依存症からの回復によい影響を与えると言われています。
 依存症の治療のための専門機関や、回復につながる自助グループ、家族を支援するグループがあります。一人で抱え込まず、専門家への相談からはじめてみましょう。

POINT

 周りの人はイネイブラー(依存行為を結果的に手助けする人)の役割をとらないことが重要です。具体的には以下の点を心がけて接しましょう。

  • 依存症についての知識や理解を深める。
  • アルコール、薬物、ギャンブルをやめさせようと、説得したり交換条件を出したり、嘘をついたりしない。
  • 依存がもとで起こった問題の責任を肩代わりしない。
  • 本人の問題にかかりきりにならず、他の楽しみを見つける。
  • 専門機関への受診や自助グループを勧める。

不安障害

 普通であれば平然としていられる状況や対象に対して過度の不安を感じ、それを自分でコントロールできなくなる病気です。

パニック障害

 特別な状況ではないのに、動悸、胸の痛み、呼吸困難、めまいなどが突然出現し、「このまま死んでしまうのでは」と強い恐怖を感じる「不安発作(パニック発作)」が繰り返し起こる病気です。発作は通常数分間しか続きませんが、「パニック発作がまた起きるのでは」という不安(予期不安)が強まると、外出ができなくなるなど、日常生活における行動が制限されてしまいます。

恐怖症性不安障害

 特定の場所や出来事に対する強い恐怖感が持続し、そのために外出できないなど、日常生活に支障をきたす病気です。人ごみや公共の場を恐れる「広場恐怖」や、人前での食事や発言を恐れる「社会恐怖」などがあり、パニック発作を伴うこともあります。

全般性不安障害

 日常の些細な出来事や問題について必要以上に心配したり、過度の不安や緊張が数ヶ月持続する病気です。動季、息切れ、発汗、めまい、胸や腹部の不快感などの身体症状が伴うので、原因が分からず内科などの一般診療科を転々とするケースもみられます。

強迫性障害

 不快な考えやイメージが頭に何度も浮かび、その不安を振り払うために同じ行動を繰り返してしまう病気です。本人は、それがいかに無意味であるか理解しているにも関わらず、それらの行為を止めることができません。

強迫性障害

 以下のような症状がよくみられます。

汚染恐怖(不潔恐怖)/洗浄強迫

 トイレの後、自分が汚れたような気がして(強迫観念)、延々と手を洗い続けたり、その都度入浴してしまう(強迫行為)。また、帰宅後の洗浄が大変で外出が辛くなることで、引きこもりになってしまうケースもあります。

確認強迫

 外出するとき、玄関に鍵をかけたかどうか不安になり(強迫観念)、何度も確認してしまう(強迫行為)。また、電気製品を使ったあとコンセントを抜いたか、ガスの元栓を閉め忘れていないかなど、何度も確認してしまいます。

POINT

 薬物療法、行動療法等の治療を受けることで、日常生活上の負担の軽減が期待できます。

ストレス関連障害

 大きな災害や事故など、誰もが強い衝撃を受けるような極度のストレスや、日常的に持続する不快な状況が原因となって生じる病気です。

急性ストレス反応

 極度のストレスにさらされることで起こりますが、通常数時間から数日以内に自然治癒します。以下のような症状がよくみられます。

再体験(フラッシュバック)

 ストレスの原因となった出来事が、突然かつ鮮明に思い出されたり、同様の夢をみる。

回避

 ストレスの原因となった出来事と関連したものを避ける。

過覚醒

 神経が昂ぶった状態が続き、不眠や不安などの症状があらわれる。

心的外傷後ストレス障害(PTSD)

 災害や事故、犯罪被害などの並はずれた脅威や破局的な出来事が原因となり発症します。急性ストレス反応と同様の症状が1か月以上持続し、社会的にも精神的にも支障をきたします。

適応障害

 極度のストレスに限らず、家族関係や仕事のトラブルなど日常的なストレスをきっかけに発症します。不安、抑うつ、焦燥、過敏、混乱などの症状のほか、不眠、食欲不振、全身倦怠感、頭痛、吐き気、発熱などの身体的症状を伴います。

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